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ドクターズトーク
「抑うつ」状態,5つの評価

若手社員に増える「うつ」

毎日暑い日が続くけど,体調はどう?
今日も,前回に引き続いて「うつ」のお話よ.

ところで,ある調査によるとね,20〜30代の若手社員で「うつ状態」に陥る人たちが急増しているそうなの.
うつ状態の社員が増えている企業の中で不全者の増加が目立つ年代層は,30代が約40%と最も多く,次いで20代が約28%,40代は約19%と,20〜30代の若手にメンタルヘルス不全者が増えている傾向が明らかになったの.
メンタルヘルス不全により1ヶ月以上休職している社員がいる企業は,なんと約51%.1000人以上の企業では約79%に達するそうよ.
このサイトを見てくれているあなたも,きっとこの年代よね.

生涯有病率(一生の間でその病気にかかる率)が15人に1人とも10人に1人とも言われているうつ病.
といっても,その症状は,実際,人それぞれなの.

新聞が読めなくなった.片付けるのが面度くさくなった.起き上がれなくなった.食欲がなくなった・・・
一見すると,日頃,ちょっと体調や気分が悪かったりするときの症状と変わらなように見えるから,周囲も,そして本人も気がつきにくかったりするのね.
相当症状が進んでから病院に,というケースがあるのも,こうした「うつ」についての分かりにくさから.

そこで今日は,少しでもご理解いただくために,精神科医の立場として「うつ」をどう診断するか,お話します.



「うつ」の診断方法

「うつ」=「うつ病」にあらず.
ゆううつな気分は,自然に起こる単なる気分.
最近は,「うつ病」についての情報があふれてるせいか,ゆううつが続くとそれだけで「ゆううつ」=「うつ病」=「休息と服薬」なんてイメージを持ってしまう人も多いみたいね.

「うつ」って言葉は,実際は「抑うつ状態」を指してることが多いんだけど,この「抑うつ状態」は,心理的,身体的ストレスでおこる一時的な状態(ストレス反応,心因反応)であることもあるし,性格的なものからくることもあるし,体の病気の症状ということもあれば,「うつ病」とかほかの精神の病気からくることもあるのよ.

「うつ」は励ましちゃいけないっていうのもケースバイケース.
仕事を休ませてかえって状態を悪くさせてしまうこともあるわ.

うつの診断は大きく分けて,5つの側面から診断するの.


1.感情面の評価


(1)感情.抑うつ気分の程度と質
抑うつ気分っていうのは,非常に大雑把な言い方になるけど,わかりやすい言葉で言えば,クヨクヨとブルーな気持ち.
「ゆううつ」な気分自体は誰にでも起こる感情.でもその程度が,「死んでしまいたい」となれば,すぐ何とかしなきゃ.
また,1日の中で波があるかどうかも重要なところ.女性なら特に1月の周期があるかどうかとか,そういうことも大切.

(2)ゆううつの質
自責の念があるかどうか.つまり,「申し訳ない・・・」っていうのは,典型的な「うつ病」の考え方ね.
かといって,逆に「あいつがあんなことをしたから,おれはこんなにゆううつになったんだ!」なんていう多罰的な感じを持つこともある.悲しみだけじゃない.空虚な感じ,不安や怒り,いらいら・・・

本人が「ゆううつ」って言ってるからって,「ああそうですか」,ってそれを鵜呑みにするのではなく,"なんて言ったらいいかわからないような混沌とした感情"を,精神科医として,一つ一つ理性的に整理していくことは診断にもなるし,治療でもあるの

「自分はゆううつじゃないし,ただ眠れる薬さえもらえればいい」って軽く言いながら,実はすごく深刻っていうこともざら.
言葉を信じないってことではなく,「ふうん」って聴きながら,目を光らせてるのよ.

(3)病気か病気じゃないか
このゆううつな気分が,病気か病気じゃないか.ここで「病気」っていうのは,診断基準にあてはまる「疾病」かどうかということ.
「うつ病」の抑うつ気分の特徴は?空虚感,無価値感,自責感.こういう気分は,「私,空虚なんですけどお」なんて簡単に言ってくれるものじゃない.だから「少しだけ」,「いろんな話」を聞いて,その中から感じとるの.



2.意欲面の評価


意欲低下って一口に言っても結構いろいろ.お風呂にも入れない歯も磨けない,寝たきり状態から,平日は「なんにもしたくない」けど,お休みの日にはゴルフに行ってバーディーでガッツポーズ,なんていう人もいるわけで.

気力の減退は,日常生活にどのくらい支障をきたしているか,っていう「程度」.それから,中には仕事だけやる気がないって人もいるから,お休みはどう過ごしているのかなんてことを聞きながら,その意欲の低下の「持続性」をみたりするわ.
その見分けは難しいけどとっても大切.「抑うつ神経症」とか「神経症性抑うつ」っていうような時には,わざと「ファイト!」なんて言って葛藤に直面させて,自分の力で解決するようにすることもある.アプローチが180度違うの
でも,初めのうちでそれが判断できないときは,まずは休養.がんばらせない.安全策をとるってこと.



3.思考面の評価


ゆううつな感情,ブルーな気分,やる気のなさっていうのは本人も自覚してるし,わかりやすい.でも,「思考」に問題があるかどうかは,ちょっとわかりにくいものなの.

(1)一つ目は,本人が自覚できる「集中力のなさ」.
ブルーでかったるくて,見てられないっていうことじゃなくて,映画の再放送なんて2時間も見てると,そわそわして,立ったり座ったり,なんかつまんない感じ.バラエティなんてとっても見てられない.新聞が集中して読めない.

(2)ニつ目は「決断力のなさ」.
迷ってしまって・・・という感じ.「もともと優柔不断」な人もいるけど,いつもよりももっと,ぼんやりして,シャープな判断ができない.意欲低下,面倒くささとも関係するけど,この決断力のなさは集中力のなさと似ていて,仕事のミスにもつながるし,周りの人が「あれ,こいつおかしいな」と気付くこともあるの.

(3)三つ目は「了解の悪さ」.
思考力の低下は,専門的に言えば「思考抑制」.すぐに反応できない.理解できない.「ああ」とか「はあ」とかそんな感じ.返事が遅い.テキパキ答えられなくて,ものすごく回りくどくなったり,関係ない話に飛んだり,おしゃべりな人だと話が止まんなくなったり,相づちが一瞬遅かったりね.こういうのは前の状態を知らなくても精神科医にはピンとくるサイン.



4.身体面の評価


感情→意欲→思考ときたら,次は身体面.この身体面での評価は,精神科以外のドクターにはとっても大切.

治療には,出ている症状を治す「症状治療」と,隠された根っこにある疾病を治療する「疾病治療」の2つがあるの.
身体的な症状の症状治療にばっかり焦点を合わせていると,根っこが良くならないから,症状が次から次へ変化していったり(シンドロームシフトsyndromeshift),ちっとも治らなかったりするのね.
感情的な低迷も意欲の低下も思考抑制もほとんど目立たなくで,身体症状ばっかりの人もいるんです.表面的には体の不調.痛みやシビレ,めまい.

ある意味,いろんな科でいろんなドクターに「異常なし」って言われるケースは要注意!根っこに何があるのかを判断するのはテクニックも時間もかかるから,判らないままになっちゃうのね,きっと.
逆に,体の症状が治らなくてゆううつだから「うつ病」って考えるのも危険.隠された身体的な疾病なこともあるからね.



5.喪失感の評価


(1)興味の喪失
(2)喜びの喪失
(3)死を考える

こうした面についても評価を加えます.



Profile: 森下あゆみ

あゆみのブログクリニック,
精神科医 森下あゆみの診察しちゃうゾ!

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10月28日生まれ,趣味はもちろん診察!
世界初!?のブログクリニック「精神科医 森下あゆみの診察しちゃうゾ!」で,うつ・パニック障害から美容,リラクゼーションまでココロについての情報を,わかりやすく解説しています. こう見えても超マジよ!毎日来ないと,診察しちゃうわよ!

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